不動産取得税とは?申告、税率、計算方法、免税点・非課税、特例措置について

不動産取得税とは、戸建てやマンション、新築や中古にかかわらず、建物や土地など、不動産を売買、交換、贈与、新築、増築、改築等により取得した時に課される税金です。

ここにいう不動産の取得とは、建物の新築・増築・改築、土地や建物の購入・贈与・交換(等価交換含む)・寄付などにより不動産の所有権を取得したことをいい、登記の有無や有償・無償など取得の事由は問いません。

そのため、土地や建物の所有権移転登記を省略した場合や建築した家屋を登記しない場合、また贈与税において夫婦間の居住用不動産の特例を受けた場合や相続時精算課税制度の適用を受けた場合にも課税されます。

不動産取得税の申告は?

不動産を取得した場合は、取得した不動産所在の市役所・町村役場または不動産所在地を所管する県税事務所へ、取得した日から60日以内(20日以内、30日以内の都道府県もあります)に不動産取得申告書を提出しなければなりません(登記をしない場合でも不動産を取得すれば申告が必要です)。

複数人で共同取得した場合は、世帯主や持ち分の大きい人など代表者が他の共有者の分も併せて申告することになります。

都道府県によっては、申告しなくても市役所・町村役場や県税事務所から納税通知書が送られてきますので、納税通知書に基づき納税すれば問題ありませんが、期限内に申告書が提出されない場合には、不動産取得税の軽減措置、課税免除、特別措置等の適用が受けられない場合があります(申告書の提出がない場合は不動産取得税の軽減措置、課税免除、特別措置を受けることができません)。

また正当な事由がなく申告しなかった場合は、過料が科される場合があります。

不動産取得税は誰にいつ払う?

納付先は取得した不動産がある都道府県です(地方税)。

登記を行ってからおおむね3~6ヶ月以内(1年近くかかることもあります)に納税通知書が届きますので、通知書にある支払期限までに支払いが必要です。多くの都道府県では通知書が届いた月内です。

支払いは固定資産税や都市計画税と異なり取得時に一度だけです。

不動産取得税がかからない場合

不動産取得税の免税点

取得した不動産の課税標準額が下記の金額の場合、不動産取得税は課税されません。

・土地の売買、贈与、交換等……………… 10万円未満
・家屋の新築、増築、改築……… 23万円未満/1戸
・家屋の売買、贈与、交換等……………… 12万円未満/1戸

非課税

下記により不動産を取得した場合は不動産取得税はかかりません。

  • 相続による取得(生前贈与や死因贈与、相続時精算課税制度の適用を受けた場合、代償分割、相続人以外への特定遺贈除く)
  • 包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈による取得
  • 共有物の分割による不動産の取得(当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得除く)
  • 宗教法人が、本来の事業の用に供する不動産の取得
  • 学校法人が直接保育又は教育の用に供する不動産の取得
  • 公共の用に供する道路や運河、保安林、墓地などの取得
  • 法人の合併又は地方税第73条の7第2号後段及び地方税法施行令第37条の14に定める分割による不動産の取得
  • 土地改良事業、土地区画整理事業の施行に伴う換地の取得
  • 譲渡担保設定後2年以内に債権の消滅により、譲渡担保財産の所有権が設定者に移転した場合

など

のように法令等に限定的に列挙された取得以外は、全て課税対象となります。

なお非課税を受けるためには原則として「不動産取得税非課税申告書」の都道府県への提出が必要です。

不動産取得税の計算方法

土地や建物の課税標準額(千円未満切捨て)(※)×標準税率(4%)=不動産取得税(百円未満切捨て)

※課税標準額
土地や建物の課税標準額とは、原則として、土地や建物取得時の市町村の固定資産課税台帳に登録されている価格(宅地等への転用許可を受けた農地を取得した場合は、固定資産評価基準により決定した価格)です。

土地や建物の購入価格、建築費等の額ではなく、また固定資産税の課税標準額でもありません。

家屋を新築・増築等したときは、新築・増築した時点の固定資産評価基準により決定した評価額となりますので、固定資産課税台帳に登録されている価格とは異なります。

これは不動産取得税は取得日現在の評価額に基づいて算定されますが、固定資産税は賦課期日(取得日の翌年の1月1日)現在の評価額に基づき算定されるためです。

すなわち固定資産税の場合、新築・増築日から賦課期日までの時の経過を考慮し、新築・増築時の評価額に一定の減価率(経年減点補正率)を乗じて課税基礎額を算出しますが、不動産取得税は、取得時(新築時)の評価額が課税の基礎となるため、両税の評価額が異なります。

(出典:兵庫県 不動産取得税について

令和6年3月31日までに取得した宅地及び宅地批准土地並びに住宅を取得した場合の特例措置

<宅地にかかる特例措置>
宅地、宅地比準土地の不動産取得税=宅地、宅地批准土地の課税標準額×1/2×税率3%

令和6年3月31日までに取得した宅地(※1)や宅地比準土地(※2)については、固定資産課税台帳に登録されている価格の2分の1が課税標準額になります(総務省 不動産取得税)。

※1 更地や商業用ビル等、住宅が建っていない土地であっても、固定資産評価上、宅地と評価された土地であれば宅地となります。

※2 宅地比準土地とは、宅地以外の土地で、取得した時の課税標準となる価格が、宅地とほぼ同じ評価額がつく土地です。都市には、登記地目が農地であっても、一定の手続きだけで宅地として利用できる土地がありますが、こういった土地は売買でも宅地並みの価格がつくため、宅地とほぼ同等の評価をする土地ということです。

<住宅にかかる特例措置>
住宅の不動産取得税=住宅の課税標準額×税率3%

令和6年3月31日までに取得した宅地や家屋(住宅に限る)については、標準税率は3%になります。

店舗兼住宅など併用住宅を取得したときの不動産取得税の計算は、住宅部分、非住宅部分の床面積の割合であん分し、住宅部分の按分価格に3%を、店舗部分など非住宅部分の按分価格に4%を乗じることになります。

<計算例>
令和3年4月1日に土地(宅地)付新築の軽減措置適用対象住宅を購入。
土地の面積:150㎡ 住宅の総床面積:200㎡

土地の購入価格:15,000万円 土地の固定資産課税台帳登録価格:12,000万円
住宅の購入価格:3,000万円 住宅の課税標準額:2,000万円

・住宅にかかる不動産取得税
(2,000万円(課税標準額)-1,200万円(控除額))×3%=24万円

・土地にかかる不動産取得税
12,000万円×1/2=6,000万円(課税標準額)
宅地にかかる特例措置により固定資産課税台帳登録価格の2分の1

6,000万円×3%=180万円(当初税額)

住宅用土地を取得したときの軽減措置適用により
土地1㎡当たりの価格40万円(※1)×住宅の床面積の2倍(200㎡)(※2)×3%=240万円>45千円(減額額)

※1 土地1㎡当たりの価格(6,000万円/150㎡)=40万円
※2 住宅の床面積の2倍=200㎡×2=400㎡⇒200㎡限度のため200㎡

180万円-240万円=△60万円⇒0円

不動産取得税合計:24万円+0円=24万円

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