低廉な空家等(売買代金・交換評価額が400万円以下)の売買・交換の仲介手数料・代理手数料の特例

売買代金・交換評価額が400万円以下の低廉な空家等(宅地・建物)の売買・交換の媒介・代理における特例

売買代金や交換評価額が低廉な宅地や建物の売買・交換の媒介・代理で現地調査費用の負担が大きい場合、宅地建物取引業者は売主または交換を行う依頼者に、通常の報酬の報酬に加え、現地調査等の費用を請求することができます。

空家は、放置すれば火災や犯罪の発生など地域の安全を害する可能性がありますが、売買・交換を媒介・代理する立場からすると、遠隔地の老朽化した空家の現地調査等には通常より調査費用等がかかり、物件価額も低いことから成約しても報酬が伴わず赤字になってしまいます。このようなことから、低廉な空家等の売買・交換の仲介手数料・代理手数料について、特例が設けられています。

低廉な空家等の特例の要件

①売買代金または交換評価額が400万円以下(消費税抜き)であること
②実際に空家である必要はないこと
③売買または交換の代理または媒介であること
④通常の売買・交換の代理・媒介と比較して現地調査等(人件費や交通費など)の費用がかかること
⑤売主または交換を行う依頼者から受ける報酬であること(買主や交換の相手に対しては請求できない)
⑥通常の売買・交換の代理・媒介よりも現地調査等の費用が必要なものであること(あらかじめ売主または交換を行う依頼者への説明および合意が必要)
⑦売買・交換の媒介の場合は、報酬額と現地調査費用等の合計額が198,000円(消費税込み)以内であること(上限が198,000円(消費税込み)とは報酬+特別な現地調査費用であって、特別な現地調査費用がなくても売主から一律に198,000円の報酬がもらえるというわけではありません。)
⑧売買・交換の代理の場合に売主・交換を行う依頼主から受けることのできる報酬限度額は、「通常の売買・交換の媒介の報酬限度額+低廉な空家等(売買代金・交換評価額が400万円以下の宅地や建物)の媒介で売主・交換を行う依頼主から受ける報酬限度額(198,000円以内)」以内であること。宅地建物取引業者が代理の相手方からも報酬を受ける場合は、当該金額を控除した金額以内であること

これらの要件を満たす場合は、宅地建物取引業者の物件調査の負担軽減のために報酬額とは別に物件調査費用の請求が認められています。

よって売買代金または交換評価額が400万円以下の物件の売主または交換を行う依頼主は、報酬とは別に調査費等を負担することがあります。

売買代金・交換評価額が400万円以下の宅地や建物の売買・交換の媒介における売主・交換を行う依頼者受領できる報酬の限度額計算の具体例

土地付建物の売買代金が315万円(うち土地代金は150万円)、現地調査費用5万円の場合(いずれの金額も消費税込み)。
土地の売買、交換には消費税がかかりませんので、内訳は次のようになります。
 土地代金:150万円
 建物代金:165万円(税込み)

①建物代金から消費税を控除した金額を算出
 165万円÷1.1=150万円

②土地と建物の売買代金を合算
 150万円+150万円=300万円

③消費税抜きの売買代金に仲介手数料率を適用し仲介手数料を算出
 200万円×5%+100万円×4%=14万円

④③で求めた仲介手数料に消費税と現地調査費用等を加算し消費税込みの報酬限度額を計算
 14万円× 1.1+5万円=204,000円

⑤④で求めた金額と198,000円を比較
 204,000円≦198,000円 ×
 
宅地建物取引業者が受け取ることのできる売買・交換の媒介の場合の報酬は、198,000円(消費税込み)が限度になります。

よって今回の事例における売主または交換を行う依頼者が支払う手数料の限度額は198,000円になります。
  

低廉な空家等(売買代金・交換評価額が400万円以下の宅地や建物)の売買・交換の代理における売主・交換を行う依頼者受領できる報酬の限度額計算の具体例

報酬限度額(消費税込み)=依頼者の一方から受領できる通常の売買・交換の媒介の報酬限度額+低廉な空家等の媒介の場合に売主・交換を行う依頼者から受領できる報酬限度額

宅地建物取引業者が売買・交換の相手方からも報酬を受領する場合は、上記の報酬限度額から当該金額を控除した額が、売主・交換を行う依頼者から受領できる報酬限度額になります。

土地付建物の売買代金が315万円(うち土地代金は150万円)、現地調査費用5万円の場合(いずれの金額も消費税込み)。
土地の売買、交換には消費税がかかりませんので、内訳は次のようになります。
 土地代金:150万円
 建物代金:165万円(税込み)

①建物代金から消費税を控除した金額を算出
 165万円÷1.1=150万円

②土地と建物の売買代金を合算
 150万円+150万円=300万円

③消費税抜きの売買代金に仲介手数料率を適用し仲介手数料を算出
 200万円×5%+100万円×4%=14万円

④③で求めた仲介手数料に消費税と現地調査費用等を加算し消費税込みの報酬限度額を計算
 14万円× 1.1+5万円=204,000円

⑤④で求めた金額と198,000円を比較
 204,000円≦198,000円 ×
 
 低廉な空家等の媒介の場合に売主・交換を行う依頼者から受領できる報酬限度額は、198,000円(消費税込み)になります。

⑥依頼者の一方から受領できる通常の売買・交換の媒介の報酬限度額
 200万円×5%+100万円×4%=14万円
 14万円×1.1=154,000円(消費税込み)

⑦低廉な空家等の売買・交換の代理における売主・交換を行う依頼者受領できる報酬の限度額
 ⑤+⑥=352,000円

 売主もしくは交換を行う依頼者が支払う報酬の限度額は、352,000円になります。

 宅地建物取引業者が売買・交換の相手方からも報酬を受ける場合が、352,000円からこの金額を控除した額が、売主もしくは交換を行う依頼者が支払う報酬の限度額になります。

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