住宅ローンの基礎知識Ⅰ 住宅ローンで買える家、借りれる人借りれない人、金融機関選び方

住宅ローンとは、”マイホーム(居住用の土地や建物)”を購入するために金融機関からお金を借りることをいいます。

住宅は必ず高額になりますので、購入には多くの人が多額のローンを組みます。

返済は長期にわたり、金利もかかるため、長期にわたり日々の資金繰りに大きな影響を与えますが、マイホームの購入は、一生に一回あるかないかのことであるため、購入金額や広さ、近隣環境、間取りなどに時間を取られ、住宅ローンまで頭が回らないことがよくあります。

そのため、マイホームを購入し数年経ってから、住宅ローンにこだわらなかったこと、不動産会社や金融機関にローンのことをあまり相談しなかったこと、さらには何にこだわるべきなのかわからず融資に対し勉強不足であったことを後悔する人が沢山います。

ここではそういったマイホームの購入を検討されている方へ、住宅ローンとはどういうものか、住宅ローンの基本知識、借りる際に検討すべき事項を紹介していきます。

◇住宅ローンで買える家、借りれる人借りれない人、金融機関選び方

住宅ローンで買える家

住宅ローンとは、居住用の土地・建物を購入する人に金融機関がお金を貸す金融商品です。 住むための家の購入であれば、新築だけでなく中古戸建や中古マンション、住宅用の土地の購入資金など基本的にどんな物件でも利用できます。

ただし、「住宅ローンを利用する人が住む」という条件がありますので、セカンドハウスとして購入する場合や、賃貸用住宅として購入する場合は住宅ローンを利用することができません。

住宅ローン 借りれる人借りれない人

住宅ローンは金額が多額で返済が長期になるため、基本的に「安定した収入がある人」になります。

会社員であれば、「年収」「勤続年数」「会社の規模や業種」、自営業者や会社の経営者であれば、「経営状況」「数年間の黒字所得があるか」「納税状況・滞納の有無」、あとは「個人信用情報」などを踏まえて金融機関の審査を通過できるひとになります。
そのため、専業主婦や年金収入、学生などは基本的にNGです。

住宅ローン 金融機関選び方

住宅ローンは「銀行」「住宅ローン専門会社」「ノンバンク」「JAバンク」などの金融機関から借りる事ができます。

なお、不動産と異なり融資は時間をかければ自分に理想の融資が受けられるわけではありません。

金融機関によって審査基準、重視するポイントが異なりますので、住宅ローンを検討する際は信用含め自分の属性や住宅に応じた金融機関で相談する必要があります。

①都市銀行

借主の信用や属性、不動産の担保価値など全ての面で一定レベル以上を求められます。
特に他の金融機関より信用、属性が重視されますが、信用が得られればその分、大きな借入ができ、金利も低い傾向にあります。また審査スピードも他の金融機関に比べ早いです。

②地方銀行
地元に根差した金融機関です。地元の人や不動産であれば、都市銀行ではローン契約を断られた難しい案件でも、取り組んでもらえる可能性があります。また地域密着のため小回りが効きます。

地元の人にとっては非常に頼りになりますが、リスクをとる分、都市銀行に比べ借入できる額が少なく、金利が高くなり、審査にも時間がかかります。

③信託銀行
銀行業務の他に、人から預かった財産を運用し、獲得した収益を還元する信託業務を行います。そのため複数の不動産を所有する人の相続対策や資産運用案件のノウハウが豊富です。
借主の信用や属性、不動産の担保価値などは、バランスよく一定レベル以上を求められますが、都市銀行と同じく信用が得られればその分、大きな借入ができます。ただし、金利は都市銀行よりも若干高い傾向にあります。

④信用金庫
信用金庫は会員の出資による共同組織の金融機関ですが営利が主目的でなく、地域の会員や利用者の利益が優先されます。
営業地域も一定の地域に限定され、株式会社の形態をとり営利を目的とする銀行とは、制度・運用面で異なる性格を持ちます。
会員には、営業地域に居住、勤務あるいは事業所を持つ個人事業主、法人およびその役員の方がなれますが、常時使用する従業員数が300人を超える個人事業主、常時使用する従業員数が300人を超えかつ資本金が9億円を超える法人は会員になれません。

ローンについては、原則として会員だけを対象とし、会員以外の方へのローンは一定の条件で認められています。

このように信用金庫は地域における会員の利益を最優先にしてくれるため、都市銀行や地方銀行では借りにくい中小企業の経営者や個人事業主の方でも積極的に相談に応じてくれ、独自の目線で審査をしてくれます。

ただし、都市銀行や地方銀行などと比べると金利は比較的高く、また、会員になるための出資金が必要になります。

⑤信用組合
信用組合も同様に同じ利益を追求することを目的とした金融機関ではなく、組合員の「相互扶助」を経営理念に、組合員の出資による組合員の経済的地位の向上を目的とした非営利な金融機関です。預金もローンも原則として組合員しか利用できません。
信用組合は、顧客である組合員の利益を第一に考えた経営をしてくれますので、住宅ローンに関しても組合員であれば、他の金融機関で難しいとされた場合でも柔軟に対応してくれます。
なお組合になるには、地区内に住所又は居所がある、地区内に勤務する、地区内で商業、工業、鉱業、運送業、サービス業などを行う小規模の事業者(従業員数 資本の額又は出資の総額あり*)といった条件があります。

*事業者の規模の制限

従業員数 資本金又は出資の総額
小売業を主たる事業とする事業者 50人以内 又は 5千万円以内
サービス業を主たる事業とする事業者 100人以内 又は 5千万円以内
卸売業を主たる事業とする事業者 100人以内 又は 1億円以内
上記以外の事業者 300人以内 又は 3億円以内

(引用:一般社団法人全国信用組合中央協会

⑥ネットバンク
店舗やATM、通帳を持たないため業務のほとんどをWEB上で行う銀行です。現金の入出金は提携している他の銀行のATMで行います。

ジャパンネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行などが有名です。

他の銀行と同じ金融商品を販売しており、住宅ローンや自動車ローンなども取り扱っています。

店舗の家賃、人件費などが削減できるので、預金金利が高く、借入利息が安く、繰り上げ返済手数料、保証料が無料の銀行が多いのが特徴です。

ローンの申し込みもパソコンやスマホで24時間いつでもでき、本人確認や物件関係、契約書類は郵送でできますので銀行に行く必要がなく、また対象地域が全国(一部離島や市街化調整区域を除く場合あり)なこともメリットです。

ただし、ネットバンクによっては事務手数料が割高な場合があること、追加資料の対応や審査に時間がかかったり、画一的な審査が行われるため審査が通り難かったり、ローン担当者と相談しながら進めたい複雑な案件には対応できず、またローン特約を組みにくいないなどのデメリットがあります。

⑦モーゲージバンク
「モーゲージ(Mortgage)」とは担保、抵当権を意味し、モーゲージローンは不動産を担保にした貸付を意味し、主に住宅ローンのことをいいます。

モーゲージバンクとは、住宅ローンを専門に取り扱う金融機関です。住宅金融支援機構の「フラット35」を最も多く取り扱います。

預金を預かることはせず、住宅ローン債権を証券化することでして資金を調達しています。

お金を借りるという点では、通常の金融機関と利用者においての違いはなく、特段の事情がない案件には向いていますが、込み入った案件には不向きです。

⑧労働金庫(ろうきん)
労働組合や生活協同組合の働く会員が、互いに助け合い、経済的地位の向上に役立つことを目的に資金を出し合いつくった福祉金融機関です。

ろうきんがカバーしているエリアに居住または勤務していれば、預金だけか、小口ローンであれば、原則として個人事業主や専業主婦(主夫)など誰でも利用できます。

金利などの貸し出し条件は、

①職場の労働組合が申し込み先のろうきんへ出資している場合、
②生活協同組合の会員及び同一性系の家族、
③①②以外の人、

により異なりますが、カードローン、自動車ローン、住宅ローン、教育ローンなど各種ローンを扱っており、営利を目的とせず、利益を利用者に還元してくれますので低金利です。

①、②に該当する人は、審査手続きが簡素化され、審査も通りやすく、金利のみならず保証料、繰り上げ返済手数料などの各種手数料も安くなっています。

⑨JAバンク
JAバンクとは農協(JA)が運営している金融機関で、貯金や金融商品の販売、貸付を行っています。
ただし、融資が受けられるのは、JAバンク法によりJAに正組合員または准組合員として加入している人だけになります。

正組合員は農業者や農業に従事する人、農業を営む法人ですが、準組合員は正組合員以外の人になります。よって農業従事者でなくてもJAの組合員になれ、住宅ローンも利用できます。

なお組合員になるには、1口1,000円~の出資が必要です。

JAバンクの住宅ローンは、要件を満たせば審査がゆるく、金利など好条件で利用することができますが各店舗により要件が異なります。

⑩ノンバンク
ノンバンクとは銀行、信用組合、信用金庫などのように預金の受け入れを行わずに、融資業務だけを行う金融機関です。
与信業務だけを扱う金融機関ですが貸出対象を専門化している会社が多く、ローンの種類は少ない傾向にあり、住宅ローンについてもノンバンクで取扱していますが、ローンの種類は多くありません。
住宅ローンの貸し出し条件については、銀行より金利が高く、審査においては担保を重視する傾向があります。そのため、十分な担保を提供できる場合は審査も早く、銀行では受け付けてくれないような案件でも審査が通りやすい傾向にあります。
よって過去に延滞や破産・倒産などの金融事故のある人、中小零細企業の経営者、自営業者、税金滞納のある人などでも挑戦してみる価値はあります。

なお、銀行は銀行法が適用されますが、ノンバンクは貸金業法が適用されます。そのため借入れの総額は年収の3分の1までなどの総量規制の対象になりますが、住宅ローンは総量規制の例外になりますので、年収の3分の1を超えた借り入れが可能です。

⑪自治体融資
都道府県や市町村がその地域の住民や勤労者の支援を目的として実施している融資制度で、特定の金融機関と提携して、一般の住宅ローンより低い金利で融資を受けたり、利子補給を受けることができます。

ただし融資内容や条件は自治体により異なり、また実施していない自治体もあります。

なお公務員であれば共済住宅ローンを使うことができます。
細かい審査基準がなく、低い金利で融資が受けられます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする